Okamura pain scale (OPS)

OPSはなぜ生まれたか?

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当院では下肢静脈瘤の手術を積極的に行っております。
静脈瘤血管内焼灼術と静脈瘤切除(スタブ・アバルジョン法)は局所麻酔下で行うのが一般的です。なぜなら、神経障害の回避と、手術直後から歩行することより、深部静脈血栓症の予防になるからです。

しかし以前より術中に痛みを訴える患者さんが少なくありませんでした。そこで苦痛を取り除き、少しでも楽に手術を受けてもらえるように、さまざま改善を行いました。

局麻針を32Gと極細に変更。局麻注入部位には、キシロカインゼリーを塗る。ごく軽度の鎮静(アタラックスP:25mg 1/4A静注)、1%局麻用キシロカインおよびTLA麻酔液を使用前に40℃の保温庫から取り出し、使用時には常温(5-35℃)上限にすることにより、寒冷刺激を避けるなどです。

これらの改善効果を判定しなければ、ただの自己満足に終わってしまいます。そこで使用可能な疼痛スケールを探しました。現在臨床で使用されている主なスケールはNRS(0~10)、VASがありますが手術終了後に患者さんに聞く必要があります。

また唯一リアルタイムに評価する方法として、フェイススケール(0~5)を客観的スケールとして使用する方法も考えられますが、評価者によるバイアスが大きくなります。

やむなく独自に評価する方法を検討しました。まずシンプルで、覚えやすく、臨床的に意味があり、汎用性があり、評価者のバイアスが少ないことを条件にしました。

OPS01はフェイススケールを参考にしました。実際にはOPS1はフェイススケール1~4に相当するかもしれません。

次に患者さんは疼痛刺激があると逃避反射として、無意識のうちに体を逃げるように動かします(OPS2:体動が生じる)。痛みが強いときには、痛みを訴えます(OPS3)。

我慢できない痛みに対しては、繰り返し痛みを訴えます(OPS4)。また手技を止めているにも関わらず痛みを繰り返し訴える場合には、痛みの原因が残っている(神経損傷、動脈損傷、臓器損傷などの重大な合併症が生じている)可能性があり、十分な注意が必要です。
手術・手技が継続できない場合、または吸入・静脈麻酔を追加した場合(OPS5)は最高レベルと判定するようにしました。

プロトタイプの作成から手術室スタッフと検討を重ね、マイナーチェンジを繰り返し、このOPSが決まりました。