TAVI担当医師
三和 千里
心臓血管外科部長
経カテーテル的大動脈弁置換術実施施設 証明証
当院は2022年3月7日に経カテーテル的大動脈弁置換術の実施施設に認定されました。
大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)のご案内
岡村記念病院では2022年4月よりTAVIを開始しました。2022年は、30例のTAVI(Sapien3経大腿アプローチ)を行いました。
静岡県東部はご高齢の方の人口が多く、大動脈弁狭窄をきたしている患者様も多くおられると思います。
このような症状でお困りではありませんか?
- 心雑音が聞こえる
- 運動時に息切れめまいがある
- 以前登れていた坂道などで休まなくてはいけなくなった
- 立ちくらみやふらっとすることが多くなった
- ご高齢なので手術を諦めていた
大動脈弁狭窄症という病気
心臓の中には4つの部屋がありますが部屋を通過した血液が逆流しないように出口に逆流を防止する仕組みがあり、これを心臓の弁と言います。
4つの弁の中で最後にあるのが大動脈弁で左心室と大動脈の間にあります。大動脈弁狭窄症はこの大動脈弁がうまく開かなくなって左心室に大きな負担がかかり心肥大を来します。
大動脈弁狭窄症は症状が出始めると余命3-5年と言われます。
大動脈弁狭窄症はめずらしい病気でしょうか?
65歳以上の大動脈弁狭窄症の罹患率は2-4%と考えられます。日本のように高齢化の進んだ社会では多くの潜在的な患者様がおられると推定され、その数は100万人以上ともいわれます。静岡県の人口で考えると県内に3万人の患者がいることになります。高齢者人口は今後も増加しますので、ますます大動脈弁狭窄症の患者様は増えていきます。
重症大動脈弁狭窄症の患者様のうち高齢などの理由で半数の患者様は手術を受けれていないという統計があります。しかしながら現在の高齢者の生活力は向上しており、このような患者様にこそ諦めずにTAVIを考えていただきたいのです。
TAVI治療の実際
手術はハイブリッド手術室という特別な部屋で行います。
局所麻酔で行う施設もありますが、当院では安全を期して全身麻酔で行います。最近はその多くが足の付け根の動脈から血管内を通して大動脈弁まで特別なTAVI専用の人工弁を留置します。
動脈硬化などで足の動脈が利用できない場合は、部分開胸などを行って、心臓または心臓近くの動脈から弁を留置します。人工心肺を用いないので術後回復は早く、翌日には普通にリハビリを行って、施設によりますが7-10日ぐらいで退院可能です。
TAVIを希望する場合はどうすれば良いのでしょうか?
TAVIは大動脈弁の形、大きさ、石灰化の程度、足から心臓までの血管の状態、首の血管に狭窄がないか、心機能はどの程度保たれているか、呼吸機能は問題ないか、狭心症や心筋梗塞が隠れていないか、など多くの要素をハートチームで検討して最終判断しています。そのため術前に造影CT検査、心臓カテーテル検査、エコー検査、呼吸機能検査、頭部CT検査などの検査を受けていただく必要があります。
まずは当院の専門外来を受診していただき、検査日程を組んで、その後手術日程を決めていきます。
TAVI後はどのくらいで日常生活に戻れるでしょうか?
TAVIは足の付け根に傷がありますが退院時は元の生活にほぼ戻れます。ご高齢の方では入院するだけでもすこし体力が落ちる場合がありますが、しっかりリハビリも進めていきますのでご安心下さい。
当院では令和4年4月よりTAVIの実施を始めました。
TAVIの専門外来も毎週木曜日の午後に診察を行っています。
ご高齢の患者様でこれまで手術をどうしようか悩んでおられた方などおられましたら、是非当院をご受診下さい。