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対象疾患・治療法 心臓血管外科手術
低侵襲心臓手術MICS(ミックス)

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僧帽弁閉鎖不全症について

僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁で肺から左心部に帰ってきた血液が左心室に流れ込んだ後、逆流させない役割を果たしています。そのため高度な僧帽弁閉鎖不全症が起きると「息切れ」という症状が顕著に現れます。また、逆流によって左心房に負担がかかると頻脈や心房細動などの不整脈を生じやすくなり「ドキドキする」という症状となって現れます。

「診断」

僧帽弁閉鎖不全症は健診などの際に心雑音で異常を指摘され、その後心エコーで確定診断となることが多いです。この場合の心雑音は心尖部を中心とした全収縮期雑音で重症な場合はⅢ音も聴取します。若年者などは症状が軽い場合もありますので、このような雑音が聴取された場合は専門医の診察が必要です。

「治療について」

僧帽弁閉鎖不全症に関する治療は、初期は対症療法による薬物治療が選択されますが、Ⅳ度以上の重症例や有症状な場合は手術が第一選択となります。多くの場合、僧帽弁形成術が選択されますが、僧帽弁狭窄症を伴う場合や低左心機能症例、再発などでは弁置換術を行います。
2020年のガイドライン改正で弁形成により長期予後が見込まれる重症僧帽弁不全症においては、無症状であっても早期手術が推奨されています。当院でも最近40-50代の若年の患者様の手術が増えています。
特に若年者に多い腱索断裂による僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術は内視鏡を用いた右小開胸による弁形成術(mics MVP)の適応となり、早期社会復帰が見込めます。
また拡張型心筋症に伴う機能的僧帽弁閉鎖不全症や、長い間の心房細動に伴う心房性機能的僧帽弁閉鎖不全症、弁の過形成によるバーロー症候群など複雑な僧帽弁閉鎖不全症に対する治療は最も良い治療法をご本人、ご家族と相談して決めていく必要があります。

MICS MVP 心臓血管アトラスより

「おわりに」

僧帽弁閉鎖不全症を見つける第一歩は聴診です。収縮期雑音は僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁狭窄症などの治療の必要な弁膜症につながる重要な所見ですので、心雑音があったら、当院へご遠慮なくご相談下さい。

2020年弁膜症治療ガイドラインより